Google Cloud 導入事例
株式会社セブン-イレブン・ジャパン 様
タブレット×クラウドで 店舗システムを再設計
~ Google Cloud を活用した、変化に対応し続ける 基盤設計 ~
2026/03/02
株式会社セブン-イレブン・ジャパン 様(以下「セブン-イレブン・ジャパン」、敬称略)では、店舗運営を支える 業務アプリケーションが 長年にわたり積み重ねられてきました。その結果、業務ごとの最適化が進む 一方で、システム全体としては 変化に対応しにくい構造を抱えるに 至っていました。
こうした課題に対し、同社が選んだのは、特定の 業務アプリを 個別に見直すのではなく、店舗システムの基盤そのものを再設計するという アプローチです。ここでは、数多く存在する 業務アプリケーションの中から「個店行為計画」と「FF 仕込み」を例に取り上げ、店舗システムの構造転換に至った背景や設計思想、現場にもたらした変化、今後の展望について、共同で システムを開発した 株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)の担当者を交えて 伺いました。

- 写真左から、セブン-イレブン・ジャパンの 奥川 真聡 氏・中野 博貴 氏・渡邊 悠太 氏、NRIの 宮澤 岳志・浅井 卓也・杉山 聡。
導入の背景・経緯
約20に及ぶ 店舗業務アプリが抱えていた、共通の構造課題
セブン-イレブン・ジャパンでは、発注や仕込み、管理など、店舗運営を支える 約20 の 業務アプリケーションが利用されています。これらは長年、ストアコンピュータ(SC)を 前提とした 店舗システム上で 運用されてきました。
個々の業務要件に応じて 機能追加や改修を重ねてきた結果、業務ごとの最適化は進みました。一方で、システム全体としては、次第に柔軟性を欠く構造へと変化していきました。特定の ハードウェアと ソフトウェアが 強く結び付いた構成であったため、改修や機能追加の際には、ハードウェアを含めた影響範囲の確認や調整が必要となり、対応に時間を要していたのです。
その結果、改修に時間がかかる、機能追加や変更に柔軟に対応しにくいといった課題が、ほぼ全ての 店舗業務アプリに共通する問題として顕在化していきました。当時の問題意識について、セブン-イレブン・ジャパンの 渡邊 悠太 氏は 次のように語ります。
「どの アプリも業務を支えてくれていましたが、何かを変えようとすると、必ず ハードウェアや 周辺システムへの影響を意識せざるを得ず、結果として『すぐに直せない』『簡単には変えられない』状態になっていました。これは 特定の アプリの問題というより、店舗システム全体の構造の問題だと感じていました」
こうした状況を受け、業務アプリを個別に改修していくのではなく、店舗システム全体を対象に構造そのものを見直すという判断に至りました。ストアコンピュータを前提とした 従来の構成から脱却し、汎用端末と クラウドを活用することで、ハードウェアへの依存を抑えつつ、変化に柔軟に対応できる 店舗システムへと転換していく。この考え方のもと、店舗システム全体の再構築が進められました。

- セブン-イレブン・ジャパンの 渡邊 悠太 氏。
導入の概要・ポイント
タブレット×クラウドを前提に再設計した、柔軟な アーキテクチャ
店舗業務アプリを取り巻く 構造的な課題を受け、端末と バックエンドを同時に刷新するという方針のもと、具体的な設計と実装が進められました。従来は店舗内で完結していた システムを、タブレットと クラウドを前提とした構成へ移行することで、将来的な拡張や改修に 柔軟に対応できる 共通的な考え方に基づく基盤が整備されています。
この全体方針のもと、NRI は セブン-イレブン・ジャパンが設計した 店舗システム全体の アーキテクチャ方針を踏まえながら、オーナーによる店舗経営を支える「個店行為計画」と、揚げ物や 中華まんなどの 販売・陳列数の管理を担う「FF 仕込み」の 2つの 業務アプリについて、それぞれの業務特性に合わせた アーキテクチャ設計と、開発・マイグレーションを担当しました。
バックエンドを クラウド化することで 通信が発生するため、体感速度への影響が課題となりました。そこで フロントエンドを ネイティブアプリとし、クライアント側で完結できる処理や キャッシュを活用することで、操作時に遅さを感じさせない UI を実現しています。この点について、NRI の 杉山 聡 は 次のように語ります。
「クラウド化によって 通信が発生することは避けられません。だからこそ、体感速度を落とさないために、クライアント側で処理できる部分は できるだけ任せるという考え方を取りました」

- 株式会社野村総合研究所(NRI)の 杉山 聡。
さらに バックエンドは Google Cloud 上に構築し、常時稼働が必要な処理は Google Kubernetes Engine (GKE)、イベント的に発生する処理は Cloud Run functions といった形で、処理の特性に応じて構成を切り分けています。加えて、システム間の データ連携においては、各システムの改修や拡張を容易にするため、疎結合な構成を目指しました。ここでも、データの永続性や リアルタイム性、サイズを考慮し、Cloud Pub/Sub と Cloud Storage を 用途に応じて 使い分けるなど、業務特性に合わせた サービス選定を行っています。この設計方針について、同じく NRI の 浅井 卓也 は 次のように説明します。
「重要だったのは、業務の特性に応じて、レスポンス速度や コスト、スケーラビリティを バランスよく考慮した アーキテクチャを構築することでした」
こうした設計思想は、「個店行為計画」や「FF 仕込み」に限らず、今後、他の業務アプリを 検討・開発していく際にも活用できる考え方として整理されています。特定の アプリを作り替えるのではなく、業務の特性に応じて構成を考えるという前提を明確にしたことが、今回の取り組みの 大きな ポイントといえます。

- 株式会社野村総合研究所(NRI)の 浅井 卓也。
導入の効果、今後の展望
「変えられる構造」が、次の 一手を 可能にする
店舗システムの 基盤刷新により、店舗側では大きな混乱なく 新しい仕組みへ移行することが できました。タブレット化や クラウド化といった変化がありながらも、操作性は 従来の使い勝手を踏襲しており、日常業務は これまでと同様の感覚で行われています。
「システムを変えたのに、現場が混乱しなかった。使う側からすると、以前と同じ感覚で業務が続けられていて、その裏側で仕組みだけが着実に変わっている。そこに大きな手応えを感じています」と 渡邊 氏は 評価しています。
基盤の見直しによって 改修や障害対応を 柔軟に行えるようになり、改善を進めやすい環境が整いつつあります。こうした変化について、NRI の 宮澤 岳志 は 次のように語ります。
「今回の取り組みで大きかったのは、特定の アプリだけを良くしたのではなく、店舗システム全体として『変えやすい構造』に転換できた点です。改修や障害対応を 柔軟に行えるようになり、改善を前向きに積み重ねていける環境が整ってきました。こうした効果は、個店行為計画や FF 仕込みといった 個別アプリに限らず、店舗業務アプリ全体に共通するものだと考えています」

- 株式会社野村総合研究所(NRI)の 宮澤 岳志。
今後の展望について、個店行為計画と FF 仕込み、それぞれの立場から 次のような方向性が語られています。個店行為計画について、中野 博貴 氏は 次のように述べます。
「個店行為計画を、オーナー様が 自分の店舗の状況を理解し、次の打ち手を考えるための土台として、さらに活用していきたいと考えています」

- セブン-イレブン・ジャパンの 中野 博貴 氏。
一方、FF 仕込みについては、奥川 真聡 氏が 現場視点での期待を語ります。
「FF 仕込みを、日々の業務を こなすための ツールに とどめるのではなく、従業員様が気付きを得て、次の行動に つなげられる仕組みとして 育てていきたいですね」
今回 構築した基盤を土台として、今後は 業務の 省力化・高度化や、データ活用といった取り組みへと展開していくことも可能になります。店舗システム全体を「変化に対応し続けられる仕組み」へと転換したことが、次の 一手を 現実的な選択肢としています。

- セブン-イレブン・ジャパンの 奥川 真聡 氏。
企業紹介
株式会社セブン-イレブン・ジャパン
国内に 21,883店舗(2026年1月末現在)を展開する セブン-イレブンの、フランチャイズ本部。品質の良い オリジナルフレッシュフードや、プライベートブランド「セブンプレミアム」等、幅広い商品・サービスを提供し、加盟店オーナー様への店舗経営サポートとともに、お客様の豊かな暮らしの実現を目指しています。
関連する Google Cloud の ソリューションや プロダクト
Cloud Run functions
Cloud Run functions は 軽量な コンピューティング ソリューションで、デベロッパーは サーバーや ランタイム環境を管理せずに、Cloud イベントに 応答する 単一目的の スタンドアロン関数を作成できます。
・Google Cloud / Cloud Run functions ※外部サイトへ
・Google Cloud Documentation / Cloud Run functions の ドキュメント ※外部サイトへ
Cloud Storage
Cloud Storage では、世界中の どこからでも、いつでも データを保存、取得できます。データの量に制限はありません。高パフォーマンスの AI / ML と 分析データセットの提供、アーカイブと 障害復旧のための データの保存、世界中の消費者への コンテンツの配信など、様々な シナリオで Cloud Storage を使用できます。
・Google Cloud / Cloud Storage ※外部サイトへ
・Google Cloud Documentation / Cloud Storage の ドキュメント ※外部サイトへ
Google Kubernetes Engine (GKE)
Google Kubernetes Engine (GKE)は、Kubernetes オープンソース コンテナ オーケストレーション プラットフォームの マネージド実装です。Kubernetes は、Google の 社内クラスタ管理システムである Borg で 長年積み重ねた本番環境 ワークロードの 大規模運用の経験を生かして Google が開発した システムです。GKE では、Google Cloud の インフラストラクチャを使用して 独自の コンテナ化 アプリケーションを 大規模に デプロイして 運用できます。
・Google Cloud / Google Kubernetes Engine (GKE) ※外部サイトへ
・Google Cloud Documentation / Google Kubernetes Engine (GKE)の概要 ※外部サイトへ
Pub/Sub
Pub/Sub (パブリッシュ / サブスクライブ)は フルマネージドの リアルタイム メッセージング サービスであり、個別の アプリケーション間で メッセージを送受信できます。
NRI における クラウドの取り組み
atlax for Google Cloud
野村総合研究所(NRI)は、Google Cloud の「プレミア Sell パートナー」 「プレミア Service パートナー」に 認定されています。コンサルティング、システム開発・運用、アナリティクス、生成 AI といった 幅広い分野で、お客様の課題解決に Google Cloud を活用し、ビジネスの推進を サポートしています。
■ 主な サービスメニュー
- Cloud Modernization …… Google Cloud の 先進技術を活用した IT 基盤サービス
- Application Modernization …… DevOps を実現するための インテグレーション サービス
- Data Driven / Marketing Analytics …… ビッグデータ技術を活用した データ分析・マーケティングソリューション
- Digital Workplace …… 次世代コンタクトセンター、新しい コラボレーションの実現
・atlax / クラウドの取り組み / atlax for Google Cloud ※カテゴリー TOPページ
・atlax / ニュース・トピックス / 「Google Cloud」カテゴリー の 記事一覧
・atlax blogs / 「Google Cloud」カテゴリー の 記事一覧 ※ atlax blogs サイトへ
