Google Cloud 導入事例

株式会社セブン-イレブン・ジャパン 様

AI 活用を止めないための 基盤づくり

~ AI-HUB ・ AI モニタリングが実現する、進化を前提とした AI 活用 ~

2026/03/02

AI 活用が広がる 一方で、その進め方 自体が 問われる時代に入っています。株式会社セブン-イレブン・ジャパン 様(以下「セブン-イレブン・ジャパン」、敬称略)は、将来の AI エンジン増加を見据え、業務アプリケーションと AI を 疎結合化する「AI-HUB」と、AI の 使われ方を 可視化する「AI モニタリング」からなる基盤を 構築しました。

この取り組みについて、共同で システムを開発した 株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)の 担当者を交え、お話を伺いました。


写真左から、NRI の 坪田 英史・鈴木 慶昭・佐藤 貴大、セブン-イレブン・ジャパンの 石丸 周平 氏・森川 弘康 氏・槇本 敏夫 氏 - Google Cloud 導入事例

- 写真左から、NRI の 坪田 英史・鈴木 慶昭・佐藤 貴大、セブン-イレブン・ジャパンの 石丸 周平 氏・森川 弘康 氏・槇本 敏夫 氏。



導入の背景・経緯

AI 活用が広がる中で見えてきた、次の課題

AI 技術の進展により、業務への AI 活用は 現実的な選択肢となってきました。セブン-イレブン・ジャパンでも、AI 発注を はじめとする取り組みが進み、AI が 業務を支える場面は 着実に広がりつつあります。

一方で、その先を見据えたとき、社内では「AI が これから さらに増えていく」という前提に、どのように向き合うべきかという 新たな課題意識も芽生えていました。セブン-イレブン・ジャパンの 森川 弘康 氏は、当時の問題意識について 次のように語ります。

「業務ごと、アプリケーションごとに AI を 個別に組み込んでいく 従来型の進め方では、将来的に AI エンジンが乱立し、管理や最適化が難しくなる恐れがあります。様々な AI の 提案や 売り込みが増え始める中で、どの AI を どの業務で使うのが最適なのかを 全社視点で整理する必要性が高まっていました」


セブン-イレブン・ジャパンの 森川 弘康 氏 - Google Cloud 導入事例: 株式会社セブン-イレブン・ジャパン 様

- セブン-イレブン・ジャパンの 森川 弘康 氏。


さらに、AI 活用を 個別に積み上げていくことによる 構造面での課題も浮かび上がってきました。槇本 敏夫 氏は、当時の システム構造について 次のように語ります。

「業務アプリケーションと AI エンジンが 密結合した構造では、AI を 切り替えるたびに アプリケーション側の改修が必要になり、開発や運用の負荷が増大してしまいます。将来の拡張性や柔軟性を考えると、この構造を前提としたまま AI 活用を 広げていくことには 限界があると感じていました」

こうした問題意識は、特定の部署に とどまるものではなく、社内全体で共有されていきました。セブン-イレブン・ジャパンでは、次世代店舗システムの構築において、特定の ハードウェア構成や ベンダーに依存しない形で ソフトウェアを設計することで、システム全体の柔軟性を高めてきた経緯があります。その延長線上で、「業務アプリケーションと AI も、同様に役割を切り分けて考えるべきではないか」という発想に至りました。

AI を 特定の業務やシステムに固定するのではなく、全社として活用し続けられる形で支える基盤が必要である …… こうして、AI 活用を 一元的に推進するための基盤構想が 動き出しました。


セブン-イレブン・ジャパンの 槇本 敏夫 氏 - Google Cloud 導入事例: 株式会社セブン-イレブン・ジャパン 様

- セブン-イレブン・ジャパンの 槇本 敏夫 氏。



導入の概要・ポイント

AI-HUB と AI モニタリング が 支える 全体構造

こうした構想を具体化するために構築されたのが、「AI-HUB」と「AI モニタリング」を中核とする AI 基盤です。本プロジェクトでは、AI を 業務に柔軟に組み込むための「つなぐ仕組み」と、AI の 使われ方を把握し、改善に つなげるための「見える化の仕組み」を組み合わせることで、将来の拡張を前提とした構造を実現しています。

AI-HUB は、業務アプリケーションと AI エンジンの間に位置する 中間レイヤーとして設計されました。業務アプリケーション側は、AI-HUB を通じて AI 機能を呼び出すため、背後で どの AI エンジンが動いているかを 意識する必要がありません。この疎結合構造により、業務アプリケーションを改修することなく、最適な AI エンジンへ切り替えることが 可能になりました。

また、AI の 実証実験や 段階的な展開も行いやすくなっています。店舗や エリア単位で AI の利用有無を制御できるため、新しい AI を 一部の店舗で試し、結果を見ながら展開範囲を判断するといった運用を 柔軟に行えるようになりました。AI 活用を「作って終わり」にせず、検証と改善を繰り返しながら育てていくための土台となっています。

一方、AI モニタリングでは、AI 発注など 各 AI エンジンの 利用状況や 業務 KPI、予測精度を BI 画面上で可視化しています。現場から寄せられる 定性的な声だけでなく、実際に AI が どの程度使われ、どのように判断に影響しているのかを データで把握できる点が特徴です。これにより、AI の 改善点や 次の打ち手を、客観的な指標に基づいて 検討できるようになりました。

この構想を具現化するにあたり、基盤には Google Cloud を採用しています。NRI の 鈴木 慶昭 は、技術選定の ポイントについて 次のように説明します。

「AI-HUB の 疎結合構造を支える API 管理基盤として Apigee X を利用し、AI エンジンとの連携や ルーティング機能には Google Kubernetes Engine (GKE)や AlloyDB を活用した API を開発しました。AI モニタリングについては、分析基盤に BigQuery を、可視化には Looker Studio を 採用しています。また、BigQuery Sharing (旧 Analytics Hub)を活用することで、分析に必要な データを 効率的に共有できる構成としています」


株式会社野村総合研究所(NRI)の 鈴木 慶昭 - Google Cloud 導入事例: 株式会社セブン-イレブン・ジャパン 様

- 株式会社野村総合研究所(NRI)の 鈴木 慶昭。


加えて、全国規模の店舗システムを支える上では、可用性の確保も重要な要件でした。この点について、NRI の 坪田 英史 は 次のように話します。

「セブン-イレブン・ジャパンの店舗は 24時間 365日 営業しており、店舗規模は 全国で 2万店を超えます。この店舗システムを支える基盤として、24時間 365日の 高可用性を前提とした設計は 欠かせません。Google Cloud の サービス選定や、アーキテクチャにおいても 工夫しました。例えば、データベースに AlloyDB を採用し、更新用と参照用に分離することで、メンテナンスや 障害時の影響を 最小限に抑える構成にしています」


株式会社野村総合研究所(NRI)の 坪田 英史 - Google Cloud 導入事例: 株式会社セブン-イレブン・ジャパン 様

- 株式会社野村総合研究所(NRI)の 坪田 英史。


上記の システム設計の工夫に とどまらず、システム停止時の運用継続性にも考慮しています。「通常時は API を通じて AI エンジンによる最新の推論結果を リアルタイムに連携しています。一方で、障害時など AI 基盤が利用できない状況も想定し、運用継続を重視した『プラン B』として、事前に データを 店舗システムに連携する仕組みも 組み込んでいます」と話すのは、NRI の 佐藤 貴大。こうした設計により、将来の AI 拡張を前提としながらも、安定した運用を支える AI 基盤が 実現しました。


株式会社野村総合研究所(NRI)の 佐藤 貴大 - Google Cloud 導入事例: 株式会社セブン-イレブン・ジャパン 様

- 株式会社野村総合研究所(NRI)の 佐藤 貴大。



導入の効果、今後の展望

進化し続ける AI 活用に向けて

AI-HUB ・ AI モニタリングの導入により、発注や情報検索といった 既存の AI 活用を、次世代基盤上で 安定して運用できる環境を整えることができました。これは大きな前進ですが、あくまで出発点に すぎません。

店舗や エリア単位で AI を試し、その結果を モニタリングしながら 次の展開を判断できるようになったことで、AI 活用の進め方そのものが変わりつつあります。AI を 一度導入したら固定するのではなく、より良い AI があれば試し、比較し、入れ替えていくといった 柔軟な選択が可能になりました。

今後は、NRI に限らず、他社の AIエン ジンが参入する余地も広がります。共通の インターフェースを提示することで、AI ベンダー同士が競争し、その中から より良いものを選び続けることができます。加盟店の売上や利益に つながる AI を、常に追求し続けられる環境を 手に入れたと言えるでしょう。

今回の取り組みが もたらした変化は、技術面だけに とどまりません。石丸 周平 氏は、システム文化という観点から、その意義を 次のように表現します。

「これまでの社内システムは、確立された運用に合わせて 作り込む文化が強く、新しい仕組みを気軽に試すことが難しい面がありました。AI-HUB ・ AI モニタリングは、そうした前提を 一歩乗り越え、『再開発しなくても試せる』可能性を示した基盤だと感じています」

AI-HUB ・ AI モニタリングは、AI が進化し続ける時代において、セブン-イレブン・ジャパンの AI 活用を止めないための基盤として、これからも進化を続けていきます。


セブン-イレブン・ジャパンの 石丸 周平 氏 - Google Cloud 導入事例: 株式会社セブン-イレブン・ジャパン 様

- セブン-イレブン・ジャパンの 石丸 周平 氏。



企業紹介

株式会社セブン-イレブン・ジャパン

国内に 21,883店舗(2026年1月末現在)を展開する セブン-イレブンの、フランチャイズ本部。品質の良い オリジナルフレッシュフードや、プライベートブランド「セブンプレミアム」等、幅広い商品・サービスを提供し、加盟店オーナー様への店舗経営サポートとともに、お客様の豊かな暮らしの実現を目指しています。

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