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  • 初の NRI社内向け AWS GameDay に 100名近くが参加しました

    - 2022/03/24

    北條学男 - 2021 APN AWS Top Engineer, Well-Architected Lead

    新井雅也 - 2021 APN Ambassador, 2021 APN All AWS Certifications Engineer, Well-Architected Lead



2021年12月17日、アマゾン ウェブ サービス ジャパン 合同会社 様(以下「AWS ジャパン様」)のご協力のもと、「AWS GameDay Online」を NRI社内向けに特別開催しました。AWS re:Invent でも毎回人気のイベント「AWS GameDay」が、奮って参加しやすい社内開催となり、株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)と 国内の NRIグループ会社で 計22チーム・総勢 94名が課題に挑み、熱戦を繰り広げました。

本ブログでは、初めての "社内版" AWS GameDay を企画した 北條 学男と 新井 雅也が、当日の様子などを中心にレポートします。



AWS GameDay とは

AWS イベント運営側から提供される 課題(クエスト)に対して、チームメンバーで考えながら、手順なしでシステムを構築し、さらに 障害(カオス)に対処してシステムを安定稼働させる、ゲーム形式の DevOps コンテストです。チームビルディングや、AWS(Amazon Web Services)の実践力の腕試し、障害対応能力向上など、さまざまな目的で参加可能な、AWS re:Invent でも大人気のイベントです。

・About AWS GameDay ※外部サイト(AWS 公式サイト)へ



NRIのための AWS GameDay

今回の「AWS GameDay Online」は、AWS re:Invent 2020 で作成された MicroService Magic というシナリオを題材に APN パートナー向けに開催されたイベント内容を、AWS ジャパン様のご協力を受けて社内展開したものです。NRIと 国内の NRIグループ会社を対象として告知と参加者募集を行い、計22チーム・総勢 94名がフルリモートで参加しました。

※ APN:AWS Partner Network(AWS パートナーネットワーク)の略称。アマゾン ウェブ サービス(AWS)を活用して 顧客向けのソリューションとサービスを構築しているパートナーの グローバルなコミュニティのこと。



社内開催のねらい

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進やテレワークの需要からクラウド利用が拡大し、NRIでもクラウドのシステム構築・運用案件を手掛けることが増えています。想定外の障害発生時にも対応できるように、チームで知識や技術を共有し、楽しみながら学び合う場を全社横断的に設けたいと考えて、企画に至りました。

AWS GameDay は、ゲーム形式で楽しく刺激を受けながらの実践型トレーニングで、トラブルシューティング体験を通し、技術の習得・向上をかなえる絶好の機会といえるでしょう。チーム単位(大体 4名)でのエントリーとしたことで、AWS 上級者だけでなく初心者にも、とても参加しやすくなっています。AWS スキルの腕試しから、新人が AWS に親しむきっかけまで、あらゆるレベルにおいて有意義な点が、このイベントの特長だと思います。



当日の流れ

万全のコロナ対策のもと、チームごとにシェアオフィスに集結したり、自宅からリモートで協力し合ったりするなどの形で、AWS GameDay Online に臨みました。

以下のタイムテーブルで、AWS ジャパン様に進行いただきました。

[タイムテーブル]
- 13:00 ~ 14:30 … ルール説明
- 14:30 ~ 18:15 … AWS GameDay
- 18:15 ~ 18:30 … 休憩
- 18:30 ~ 19:00 … 結果発表


競技内容の詳細については、残念ながらお伝えできません。可能な範囲でプロットを紹介すると、参加者は Unicorn Rentals 社という架空の会社に配属された社員の設定です。与えられた AWS 環境を改善しつつ、次々と発生するトラブルや障害、攻撃からシステムを修復していきます。サービスを安定稼働させるとスコアが加算され、サービスがダウンしていれば、どんどん減点されてしまう仕組みです。



AWS GameDay 競技の様子

企画側の私たちも、新井が 2020年9月に「AWS GameDay Online - APN杯 -」、2021年9月に「AWS GameDay Online - APN杯 vol.2 -」の両方にチャレンジしているので、GameDay 攻略の勘所はもちろん、指令の難しさもチームの盛り上がりもよく分かります。ときには、「参加者にアドバイスしたい」「一緒に問題を解決したい」という想いにもなって、ゲームの行方を見守りました。

前半は、求められていることの意図を汲み、トラブルの原因を特定しようと努めるうちに、時間が過ぎていくチームが多く見受けられました。業務では まだ触れたことのない AWS サービスに接して、試行錯誤する姿もありました。

中盤で いったん落ち着いてスコアが上がっても、再発や新たな障害に見舞われ、サービス品質をキープするのが難しいのです。スコアを失わないよう、サービスを止めずに改善しなくてはなりません。難度の高い障害が発生し、全チームの動きが ぴたっと止まった瞬間が、強烈なインパクトを残しました。

競技のハイライトは、残り 30分。どのチームも、より結果を残そうとメンバー各自が役割に没頭し、上位はそろそろ勝ちを意識し始めるころです。トップ 3 が刻一刻と入れ替わる壮絶なエンディングが、みなさんの最後まで気を抜かない素晴らしい対応力を物語っていました。競技開始から 実に 4時間。長丁場のように見えますが、誰もが あっという間に感じたようでした。



結果発表、AWS ジャパン様から 講評も

競技結果は、以下のスコアの通りです。優勝は「チーム shiriagari 」のみなさんでした。ゲームが進むにつれて 順位を上げていき、ラストの競り合いを制した模様は、名前通りのようで見事でした。

なお、上位 3チームには 記念品の贈呈、参加者全員に参加賞もありました。AWS ジャパン様からは、「本日の参加者には優秀な方が多く、トラブル発生や問題の根本にすぐ気付き、迅速に障害対応できていたと思います。NRIのみなさんは、『日常的に、可用性の高い運用に慣れている』という印象を受けました」とコメントいただきました。これは励みになります!

社内版「AWS GameDay Online」の優勝チームのスコア

- 社内版「AWS GameDay Online」の優勝チームのスコア



まとめ: 社内版 AWS GameDay のこれから

AWS GameDay は、システム構築から運用まで、さまざまな AWS サービスを通して、ゲーム形式でスキルを磨ける魅力的なイベントです。チーム 一丸となって 競技を終えた後の 一体感や 高揚感・満足感は、他では なかなか得がたいのではと感じます。単に AWS を使いこなすことに とどまらず、手順がない状態で 一から構築していくため、決して容易ではありませんが、チームでコミュニケーションを図り、多様なトラブルシューティング体験を通してクラウドを学ぶ、貴重な機会といえるでしょう。

競技中の障害対応で得た気付きや 知識・スキルは、業務へすぐに役立つはずです。昨今は優れたシステム設計によって、障害発生頻度は高くないものの、いざという場合、直ちに 判断・対処できなくてはなりません。AWS 環境でシステム構築・保守を担うエンジニアには、課題や障害に対する瞬発力を養う場となったのではないでしょうか。

今回、初めて社内向けに本イベントを企画・開催したことで、NRIの技術力の底上げに貢献でき、とても嬉しく思いました。今後ぜひとも、社内向け AWS GameDay の開催を継続していきたいと考えています。そして NRIは、引き続き AWS の専門性を磨き、お客様のシステムを支えてまいります。



優勝チームの声

社内版「AWS GameDay Online」で 優勝した「チーム shiriagari 」の みなさん

- 優勝した「チーム shiriagari 」の みなさん … 株式会社野村総合研究所 花岡 大輔(写真左上)、小野 友顕(同右上)、NRIデータiテック株式会社 長山 大志(同左下)、柳川 龍太郎(同右下)


チームリーダーのインタビュー

株式会社野村総合研究所 花岡 大輔

- チーム構成と参加のきっかけを教えてください。
私たちは、社内外のパブリッククラウド利活用支援を行うサービス窓口を担当しています。パンデミック下に現体制となったため、実はこれまで、このメンバーで対面業務を実施したことがありませんでした。コロナ禍が いったん落ち着いたタイミングで 社内版 AWS GameDay の開催を知り、「通常の業務を離れたところで楽しみながら チームビルディングを」という目的で参加しました。

- メンバーの中に、AWS GameDay 参加経験のある方はいましたか?
全員初めての参加です。

- どんな予想や事前準備をしましたか?
出題予想やチームでの勉強会などは特に行わず、現時点の個々人の力量で挑戦しました。準備でやったことは、会議室(作業環境)の確保。これでかなり有利になったのではないかと思います。

- 役割分担はどのように? 当日うまく機能しましたか?
最初にインシデントコマンダーだけを決定し、あとは場面に応じて動きました。初期の構築は全員で、以降は監視担当と改善担当を決めて、障害が起こったら手すきのメンバーをその都度アサインする体制でした。業務での窓口運営と同じような分担だったため、違和感なかったですね。

競技中は とにかく、いろいろな障害が起こります。やはりリモートでなく対面だと、一言で伝わる情報量が違うと思いました。

- 目標や戦略はありましたか?
上位入賞です。戦略は「普段通り」を全力で!

- 勝因や盛り上がり、苦労したところなどを、聞かせてください。
勝因は「役割分担がハマったこと」「密にコミュニケーションをとれたこと」、そして「日々障害対応に慣れ親しんでいる私たちの粘り強さ」かなと。メンバーに恵まれました。

最初は構築に手間取って、順位も振るわず苦戦していました。イベントが進行するにつれ、障害頻度が上がり、監視・障害対応で忙しくなるなか、他のチームを抜いて徐々に順位を伸ばしていき、3位くらいにランクイン。「ここまで来たら トップを獲ろう!」と全員スイッチが入りました。そこまでは楽しむことが優先でしたが、優勝への欲が出てきて集中力が上がりました。

苦労したところは、メンバー 4名とも 同じ業務環境でスキルを磨いているため、得意不得意が完全に一致。不得意分野(競技で使用した AWS サービスの 3分の2 くらい)は、知識はあっても触ったことがなく、初見の障害に対する原因調査は非常に大変でした。

- チームリーダーとして、当イベントを通して実感されたことは?
本当にメンバーに助けられました。自己研鑽は もちろん重要ですが、チームメンバーとの関係性や切磋琢磨することの大切さを感じました。


メンバーの感想

株式会社野村総合研究所 小野 友顕
- AWS の知識のベースラインがあるだけでなく、「日頃から同じシステムの維持管理を担当しているメンバーだからこそ」のチームワークによる優勝だと思います。今後も知識の深耕と、知識を業務に活かすことを両輪で回せるよう、さらに研鑽したいと考えています。

NRIデータiテック株式会社 長山 大志
- 普段の業務と変わらないチームワーク・チームプレーで、楽しく AWS GameDay に参加することができました。今回の結果に満足せず、これからさらに研鑽を積んでいきたいと思います。

NRIデータiテック株式会社 柳川 龍太郎
- チームリーダーの指示のもと、役割分担が適切にでき、チームワークを発揮することができました。リーダーや 他のメンバーの力が大きかったとはいえ、優勝できたので、自信がつきました。今後も自己研鑽を積み、技術力を高め、日々の業務に活かしていきたいです。

優勝した「チーム shiriagari 」のみなさん、どうもありがとうございました。あらためて、おめでとうございます。これからも ますますご活躍ください。



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