AWS 導入事例:
三菱オートリース株式会社 様

統合 DWH(データウェアハウス)を構築し、お客様向けアプリを刷新
- 2021/09/22

三菱オートリース株式会社 様(以下「三菱オートリース」、敬称略)は、社内にあるデータを一元管理する統合 DWH(データウェアハウス)を AWS(Amazon Web Services)上に構築し、これをベースにお客様が利用する車両管理システム「MAL portal(マルポータル)」や、社内アプリケーションの開発・運用に取り組んでいます。

今回は、統合 DWH の構築に至った背景や狙い、新たにリリースしたアプリの内容などについて、開発を担当した 株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)の担当者を交えて、お話を伺いました。


導入の背景・経緯

新たな車両管理アプリなどの開発を機に、
データベースの一元化に着手

統合 DWH の構築プロジェクトは、2019年7月にスタートしました。それ以前にも、乱立していたサブシステムを基幹システムに連携させるなど、データベースの集約には力を入れてきましたが、MAL portal や 社内アプリケーションの新規開発に当たって、社内のデータを網羅した 1個の大きなデータベースをつくり、その上にアプリを構築することになったのです。当時の状況について、三菱オートリース 情報システム部の 中岡 靖浩 氏は、次のように語ります。

「MAL portal の前にも、お客様向けの車両管理システムはありました。リース契約や車両関連の費用の管理はもちろん、1台ごとのメンテナンス予定や実績、給油カード・ETC カードの利用実績など、リース車両に係るさまざまな情報を管理できるものです。しかし、『時間の経過とともにデザインや使い勝手が古くなってしまっていたこと』と『2020年11月に サーバ OS サポート終了に伴うシステム更改期限が迫っていたこと』という 2つの理由から、新しい車両管理システム MAL portal の開発を決断しました。MAL portal には、主に車両管理者の利用を目的とした従来の車両管理システムとは異なり、車検や消耗品交換の時期などをドライバーのスマホに直接メールで送り、リンクをタップすると時期や受付工場が表示されるなど、車両を使用する人の利便性も高まるような新たな機能を追加しています。このように新規開発や機能追加への取り組みやすさを実現するためにも、データベースの刷新が必要だったのです」

そのため、統合 DWH の構築は、これと並行してお客様向けの車両管理システムを刷新するという複合プロジェクトとして組成されました。


導入の概要・ポイント

AWS をベースに、モダンなアーキテクチャを実現

今回構築したシステムのポイントは、「モダンなアーキテクチャ」と「24時間365日のオンラインサービス提供」の 2点です。これについて、開発を担当した NRIの 佐藤 圭太朗は、次のように話します。

「1つ目のモダンなアーキテクチャとは、MAL portal ではクライアントサイドのアプリケーションを SPA で構成し、サーバーサイドは API を開発して構成したことです。これにより、クライアントサイドのアプリケーションと サーバーサイドのアプリケーションを完全に分離し、UI と UX はクライアントサイド、ビジネスロジックは サーバーサイドと分けることができたため、画面部品の再利用性や API の再利用性が格段に向上しました。

 2つ目は、データベース構成を工夫したことによって、DNS と AWS のデータベースマネージドサービスを活用して、アプリケーションから見る AWS のデータベースを一瞬で切り替え、毎日データベースをつくってそれを切り替えて使うという処理方式にした点です。これによって、24時間365日のオンラインサービスを提供できる信頼性の高い仕組みを構築できたと考えています」

AWS 導入事例:三菱オートリース 様 - 構成概要図(統合 DWH を構築し、お客様向けアプリを刷新)

- 構成概要図(三菱オートリース 様:統合 DWH を構築し、お客様向けアプリを刷新)

※ SPA:Single-Page Application の略で、単一の Web ページのみで構成することにより、デスクトップアプリケーションのような快適な操作性を実現する Web アプリケーションのこと。
※ API:Application Programing Interface の略で、あるソフトウェアから別のソフトウェアの“機能”を呼び出す仕組みのこと。
※ DNS:Domain Name System (ドメインネームシステム)の略で、人間が読み取れるドメイン名(www.example.com など)を 機械が読み取れる IP アドレス(192.0.2.1 など)に変換するシステム。


導入の効果、今後の展望

MAL portal は、2020年11月にリリースされて運用が始まりました。2021年11月には フェーズ 2 がリリースされ、現場のドライバーへの情報提供などをはじめとした新たな機能が実装されます。すでに以前のアプリに比べ多くのお客様に使っていただいていますが、新しい UI が功を奏し、使い方が分からないなどの問い合わせもほとんどない状況で、いまは フェーズ 2リリース後のお客様からの反応が楽しみな段階です。

「今回のプロジェクトでは、Amazon からトップエンジニアの認定を受けた NRIの 技術者をアサインいただけたことが非常に心強かったです。この複合プロジェクトには、NRI 以外にも複数のベンダーに参画いただきましたが、トップエンジニアの方の知見を他のベンダーにも共有していただき、プロジェクト一丸となって課題解決に取り組みながら、ひとつひとつを丁寧にクリアしていくことで、可用性・拡張性を備えた統合 DWH の構築とアプリケーション開発が実現できたものと思います」(三菱オートリース 情報システム部 課長 岡田 秀樹 氏)

今回のプロジェクトで MAL portal の利用浸透に尽力した 三菱オートリース デジタル戦略部 課長の 岡村 隆輝 氏は、将来の MAL portal について、次のような構想を語ってくださいました。

「お客様と Web で繋がる仕組みは今回つくることができたので、将来的には MAL portal の活用範囲を広げ、もっとお客様の利便性向上やリスク削減に繋げるサービスや機能を提供できればと考えております。ただ、2021年11月の フェーズ 2 を成功させなければ、その先はないと思っておりますので、まずは、フェーズ 2 リリースに向けてしっかりと準備を行い、少しでもお客様に『便利になったね』と言われるよう推進していきたいです」


企業紹介

三菱オートリース株式会社 - Mitsubishi Auto Leasing Corporation

- 事業内容:自動車に係るリース、メンテナンス等の総合ソリューションサービス業
- 設立:1972年1月27日

・三菱オートリース株式会社 ホームページ ※外部サイトへ

車両情報管理サービス「MAL portal」

三菱オートリースの Web 車両情報管理サービス「MAL portal(マルポータル)」は、車両利用における様々な情報を一元管理し、車両管理業務の「効率化」と「安全・コンプライアンス」などのリスクコントロールをサポートするツールです 。


事例や構成概要図に登場する主な AWS サービス

データウェアハウス(DWH)とは?

データウェアハウスは、より多くの情報に基づく意思決定を行うための、分析可能な情報のセントラルリポジトリです。データは、通常一定の周期で、トランザクションシステム、リレーショナルデータベース、その他のソースからデータウェアハウスに移されます。ビジネスアナリスト、データエンジニア、データサイエンティスト、および意思決定者は、ビジネスインテリジェンス(BI)ツール、SQL クライアント、その他の分析アプリケーションを通してそのデータにアクセスします...

・データウェアハウス(DWH)とは? ※外部サイト(AWSサイト)へ

AWS Direct Connect

AWS Direct Connect は、プレミスから AWS への専用ネットワーク接続の構築をシンプルにする、クラウドサービスソリューションです。AWS Direct Connect を使用すると、AWS とお客様のデータセンター、オフィス、またはコロケーション環境との間にプライベート接続を作成することができます。これにより帯域幅スループットが増加し、インターネットベースの接続と比較して、より一貫性の高いサービスを実現できます...

・AWS Direct Connect - AWS への専用ネットワーク接続 ※外部サイト(AWSサイト)へ


AWS Direct Connect


Amazon API Gateway

フルマネージド型サービスの Amazon API Gateway を利用すれば、デベロッパーは規模にかかわらず簡単に API の作成、公開、保守、モニタリング、保護を行えます。API は、アプリケーションがバックエンドサービスからのデータ、ビジネスロジック、機能にアクセスするための「フロントドア」として機能します...

・Amazon API Gateway - 規模に応じた API の作成、維持、保護 ※外部サイト(AWSサイト)へ


Amazon API Gateway


Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)

Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。Amazon S3 はデータを整理しアクセス制御を細かく調整するために使いやすい機能を提供しており、ビジネスや組織における規則やコンプライアンスの要件を満たしやすく設計されています...

・Amazon S3 - 拡張性と耐久性を兼ね揃えたクラウドストレージ ※外部サイト(AWSサイト)へ


Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)


Amazon Relational Database Service (Amazon RDS)

Amazon Relational Database Service (Amazon RDS)を使用すると、クラウド上のリレーショナルデータベースのセットアップ、オペレーション、スケールが簡単になります。ハードウェアのプロビジョニング、データベースのセットアップ、パッチ適用、バックアップなどの時間がかかる管理タスクを自動化しながら、コスト効率とサイズ変更可能なキャパシティーを提供します...

・Amazon RDS - マネージドリレーショナルデータベース ※外部サイト(AWSサイト)へ


Amazon Relational Database Service (Amazon RDS)


AWS Database Migration Service (AWS DMS)

AWS Database Migration Service (AWS DMS)は、データベースを AWS に迅速かつ安全に移行するのに役立ちます。移行中でもソースデータベースは完全に利用可能な状態に保たれ、データベースを利用するアプリケーションのダウンタイムは最小限に抑えられます。AWS Database Migration Service は、広く普及しているほとんどの商用データベースとオープンソースデータベース間のデータ移行でご利用いただけます...

・AWS Database Migration Service - 最小限のダウンタイムでデータベースを移行 ※外部サイト(AWSサイト)へ


AWS Database Migration Service (AWS DMS)


Amazon Aurora

Amazon Aurora は、MySQL および PostgreSQL と互換性のある、クラウド向けのリレーショナルデータベースであり、従来のエンタープライズデータベースのパフォーマンスと可用性に加え、オープンソースデータベースのシンプルさとコスト効率性も兼ね備えています...

・Amazon Aurora - 高性能マネージドリレーショナルデータベース ※外部サイト(AWSサイト)へ


Amazon Aurora


Elastic Load Balancing

Elastic Load Balancing は、アプリケーションへのトラフィックを複数のターゲット(Amazon EC2 インスタンス、コンテナ、IP アドレス、Lambda 関数、仮想アプライアンスなど)に自動的に分散します。Elastic Load Balancing では、4 種類のロードバランサーが用意されています。これらはすべて、アプリケーションの耐障害性を高めるのに必要な高い可用性、自動スケーリング、堅牢なセキュリティを特徴としています...

・Elastic Load Balancing - 複数のターゲットにわたる着信トラフィックの分配 ※外部サイト(AWSサイト)へ


Elastic Load Balancing


Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS)

Amazon ECS は、完全マネージド型コンテナオーケストレーションサービスであり、コンテナ化されたアプリケーションを簡単にデプロイ、管理、スケールするのに役立ちます。また、AWS プラットフォームの他の部分と密接に統合され、クラウドや Amazon ECS Anywhere が備わったインフラストラクチャで、コンテナワークロードを実行する安全で使いやすいソリューションを提供します...

・Amazon ECS - Docker コンテナを実行および管理 ※外部サイト(AWSサイト)へ


Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS)


AWS Fargate

AWS Fargate は、Amazon Elastic Container Service (ECS)と Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS)の両方で動作する、コンテナ向けサーバーレスコンピューティングエンジンです。Fargate を使用すると、アプリケーションの構築に簡単に集中することができます...

・AWS Fargate - サーバーやクラスターの管理が不要なコンテナの使用 ※外部サイト(AWSサイト)へ


AWS Fargate


Amazon Route 53

Amazon Route 53 は、可用性と拡張性に優れたクラウドのドメインネームシステム(DNS)ウェブサービスです。Amazon Route 53 は、www.example.com のような名前を、コンピュータが互いに接続するための数字の IP アドレス(192.0.2.1 など)に変換するサービスで、デベロッパーや企業がエンドユーザーをインターネットアプリケーションにルーティングする、きわめて信頼性が高く、コスト効率の良い方法となるよう設計されています...

・Amazon Route 53 - スケーラブルなドメインネームシステム(DNS) ※外部サイト(AWSサイト)へ


Amazon Route 53


Amazon Elastic Container Registry (Amazon ECR)

Amazon Elastic Container Registry (Amazon ECR)は、完全マネージド型のコンテナレジストリです。このレジストリを使うと、コンテナイメージとアーティファクトをどこにでも簡単に保存、管理、共有、デプロイできます。Amazon ECR を使用すると、自前のコンテナリポジトリの運用や、基盤となるインフラストラクチャのスケーリングの検討は不要になります...

・Amazon ECR - Docker イメージの保存と取得 ※外部サイト(AWSサイト)へ


Amazon Elastic Container Registry (Amazon ECR)


AWS Lambda

AWS Lambda はサーバーレスコンピューティングサービスで、サーバーのプロビジョニングや管理、ワークロード対応のクラスタースケーリングロジックの作成、イベント統合の維持、ランタイムの管理を行わずにコードを実行できます...

・AWS Lambda - イベント発生時にコードを実行 ※外部サイト(AWSサイト)へ


AWS Lambda



関連リンク

・atlax / ソリューション・サービス / AWS(Amazon Web Services)

・2021/06/11 野村総合研究所、"AWS 公共部門ソリューションプロバイダー" 認定を取得 - 行政・教育・医療機関などを対象にした "AWS 公共部門パートナー(PSP)プログラム" にも加入 -

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・2021/02/24 野村総合研究所、AWS 認定資格取得数 500 超を達成 - コンサルティング、開発・運用、マネージドサービスなどの分野で活用を支援 -


  • AWS SAP コンピテンシー

    野村総合研究所(NRI)は、AWS プレミアコンサルティングパートナーです。多数の顧客エンゲージメントや幅広い経験、顧客とのフィードバックやサクセスストーリーの収集を通じて、2013年に日本で初めて認定されて以降、8年連続で AWS プレミアコンサルティングパートナーに認定されています。

    また NRIは、「AWS Direct Connect サービスデリバリープログラム」「AWS Database Migration Service サービスデリバリープログラム」をはじめ、「Amazon Redshift サービスデリバリープログラム」「Amazon Connect サービスデリバリープログラム」など、複数のサービスデリバリープログラムを取得しており、コンサルティング、システム開発・運用、アナリティクスといった幅広い分野で、お客様の課題解決に AWS を活用し、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に取り組んでいます。



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