AWS 導入事例:
三菱鉛筆株式会社 様

マネージドサービスを活用し、社内インフラをフルクラウド化
- 2021/06/17

三菱鉛筆株式会社 様(以下「三菱鉛筆」、敬称略)は、システムのハードウェアリプレースをきっかけに、フルクラウド化を推進しています。2018年から始まったこのプロジェクトは、基幹系を構成する 4つのシステムを中心とした社内インフラを、順次 AWS(Amazon Web Services)へ移行していくものです。

今回のプロジェクトの狙いや効果について、社内で中心的役割を担われた ITソリューションセンターの皆さまにお話を伺いました。


導入の背景・経緯

本来業務に集中するため AWS への移行を決意

三菱鉛筆の基幹系の 1つである「国内販売システム」は、2012年にリプレースしたハードウェアの保守期限が 2018年末に迫っていました。また、ハウジング先の NRI 横浜第一データセンターが 2021年度に供用を終了することから移転先を探す必要もありました。そのような中でリプレースの検討を進めた結果、データセンターを変更して従来型の運用を続けるよりも、AWS を利用したクラウド化に踏み出しほうがメリットが大きいという判断に至りました。その理由について、ITソリューションセンター所長の榊原紀浩氏は次のようにお話してくださいました。

「企業活動の根幹となる案件に、私たちの力を集約したかったのです。ハードウェアの障害対応など周辺業務については専門家に任せ、限られたリソースは本来やるべき仕事に注ぎたかったのが最大の理由です。また、オンプレミスでは必要なディスクの接続などが不要なスケーラビリティの高さ、他システムとの連携のしやすさ、さらにはセキュリティに関しても常に最新の状態を維持できるなど、AWS を選んだ理由はたくさんあります。コストの面からも、利用した分だけ課金される従量制は魅力的でした」

ITソリューションセンターで主に国内販売・情報系の管理をされている奥村純一郎氏は、「数多くのサーバの保守切れ対応や、各システムのクライアントの OS の更新など、毎年のように何かしらのリプレースをおこなっていました。その部分の費用と工数が非常に大変で、とにかくそれらの対応をなくしたかったのです」と、現場の強い思いを語ってくださいました。

三菱鉛筆株式会社 様 AWS 事例イメージ図:社内インフラ オンプレミス時(フルクラウド化前)

- 三菱鉛筆 事例イメージ図:社内インフラ オンプレミス時(フルクラウド化前)

※ オンプレミス:企業が情報システムを利用する際に必要なサーバ機器などを、自社内で導入・構築・運用すること。


導入の概要・ポイント

4つのフェーズに分けて各システムを順次クラウド化

移行対象となった基幹系システムは、「国内販売、生産、海外販売・会計、情報系」の 4つから構成されており、2021年5月現在、「国内販売、生産、海外販売・会計」の移行は完了しています。このうち「生産システム」は AWS への移行だけではなく、同じタイミングでシステム自体のリプレースもおこないました。最後に残った「情報系」の移行も、2021年8月に完了する予定です。

これら以外にも、生産子会社向けのシステムやファイルサーバなどの OA 環境、テレワーク用の VDI 環境などを AWS 上で構築しており、移行作業がすべて終わると、国内業務に関わるサーバはほぼ AWS だけとなります。

三菱鉛筆株式会社 様 AWS 事例イメージ図:社内インフラ フルクラウド化後

- 三菱鉛筆 事例イメージ図:社内インフラ フルクラウド化後

三菱鉛筆株式会社 様 AWS 事例イメージ図:社内インフラ フルクラウド化 変遷図

- 三菱鉛筆 事例イメージ図:社内インフラ フルクラウド化 変遷図

すでに AWS への移行が完了しているシステムについて、社内のユーザーは特に意識することなく、以前と同様に利用しているそうです。一部のシステムはこれまでよりもレスポンスが良くなったという反応もありました。このあたりはリソースの使い方や設定にも左右されるため一概には言い切れませんが、「AWS に移行した部分は基本的に良くなっているという印象」(榊原所長)とお話してくださいました。


導入の効果、今後の展望

コスト対効果の高いシステムで今後の拡張性にも期待

「国内販売システム」の移行からすでに 1年半以上が経過しましたが、その後に移行した「生産、海外販売・会計」を含めて、AWS の利用は期待どおりの効果をもたらしているようです。

「データセンターを利用していた頃も、運用は NRIのサービスを利用していましたが、ハードウェアそのものは弊社(三菱鉛筆)の所有ですから、機器の入荷や処分など、イベントのたびに訪問手続きや現地の状況把握が必要でした。今は訪問が不要になったうえ、AWS マネージドサービスということもあり、安心感があります。夜間に異常検知があった際など、NRIよりメールや電話で状況と応急対応策を連絡いただき、『了解しました。お願いします』とスムーズに対応をお願いできます。また、AWS という新しい技術の導入を通じて、私たちのスキルの幅が広がったことも、NRIと一緒にやってよかったことの 1つです」(奥村氏)

「以前は、会社の大切なデータをクラウドに置く、自社の外に出すということに関してネガティブな反応が多かったのですが、今はむしろクラウドのほうが安全というのが半ば常識のようになっています。経営陣もそこに不安は抱いていません。

 また、今後の拡張性を考えると、SaaS など外部サービスとの連携がしやすいのも大きい。オンプレミスでつくる場合はかなり時間がかかるような内容でも、AWS だと立ち上げまでにかかる時間や、設定にかかる時間が早いと感じています」(榊原所長)

ITソリューションセンターでインフラ周りを担当する坂本浩氏は、AWS の利用が他部門にもたらす好影響についても期待しています。

「今後、弊社(三菱鉛筆)の中で AWS の利用が進めば、部門サーバ等の構築も、オンプレミスより、スピーディ、かつ安全に提供ができ、必要な期間に必要な資源を確保できて、業務効率化のための IT活用も加速すると思います。このためには、運用管理を担当して頂いている NRIとの連携が、安定稼働の意味でも重要になってくると思います」

3年弱にわたる移行プロジェクトの終了を間近に控え、榊原所長は今後の展望について以下のようにまとめてくださいました。

「インフラをクラウド上に構築したことで、投資する金額も状況に応じて細かく調整できるようになりました。ケースバイケースで重要なところにお金をかけたいですし、逆もあるでしょうけれど、そのようなことはオンプレミスでは絶対にできなかったことです。これから先、ますますコスト対効果の高いバランスの取れたシステム構成になっていくだろうと考えています。

 今回は国内のシステムをフルクラウド化しましたが、海外の拠点とつなぐときも、AWS であれば比較的簡単に連携できるのではないか。今後はそのあたりも期待しています」

※ SaaS:Software as a Service の略で、パッケージ製品として提供されていたソフトウェアを、サービスとして提供・利用する形態。


企業紹介


  • 三菱鉛筆株式会社(MITSUBISHI PENCIL CO., LTD.)

    三菱鉛筆株式会社
    - MITSUBISHI PENCIL CO., LTD.

    三菱鉛筆株式会社は、1887年(明治20年)の創業以来、「最高の品質こそ 最大のサービス」を社是として、お客様に信頼される製品の提供、新しい付加価値の提案を続けてまいりました。60年以上のロングセラー『uni(ユニ)』などに代表される最高レベルの鉛筆、世界で圧倒的なシェアを持つ水性ボールペンブランド『ユニボール』、なめらか油性ボールペン『ジェットストリーム』など、世界中でご愛顧いただいております。また、筆記具で培った技術は、化粧品や分散化技術、カーボンの分野に広く応用されております。筆記の根幹である『書く』『描く』『記憶する』を探求することにより、デジタル化社会においても皆様のお役に立てる商品やサービスを開発し、これからも伝統に胡坐をかくことなく、時代の変化にも柔軟に適応し進化し続けます。

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    野村総合研究所(NRI)は、AWS プレミアコンサルティングパートナーです。多数の顧客エンゲージメントや幅広い経験、顧客とのフィードバックやサクセスストーリーの収集を通じて、2013年に日本で初めて認定されて以降、8年連続で AWS プレミアコンサルティングパートナーに認定されています。

    また NRIは、2019年に「AWS マネージドサービスプロバイダー」認定(VCL 4.0)、2020年に「AWS Well-Architected パートナープログラム」認定を取得しており、コンサルティング、システム開発・運用、アナリティクスといった幅広い分野で、お客様の課題解決に AWS を活用し、DXの実現に取り組んでいます。



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