OCI 導入事例
三井ダイレクト損害保険株式会社 様
DXを支える基幹基盤にOCI(Oracle Cloud Infrastructure)を選択
~ アジリティと堅牢性を両立する「NRIクラウド OCI区画」 ~
2025/12/16
三井ダイレクト損害保険株式会社様(以下「三井ダイレクト損保」、敬称略)では、2030年を見据えた経営 ビジョンのもと、老朽化した従来の基幹システムを刷新すべく、次世代システム構築プロジェクトを始動しました。
インフラ基盤として選定されたのは、株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)が提供する「NRIクラウド OCI区画」です。24時間365日止めることが許されない自動車保険業務に求められる高い安定性と、これからのサービス拡張に対応する俊敏性。その両立を支える新たなクラウド基盤の導入背景、構成、導入後の変化について、三井ダイレクト損保とNRIのプロジェクト担当者にお話を伺いました。

- 写真左から、NRI の 木代 康丈、三井ダイレクト損保の 佐々木 計人 氏・榎本 洋平 氏、NRI の 田原 智志・江本 龍二。
導入の背景・経緯
老朽システムからの脱却と再構築への決断
三井ダイレクト損保では、創業以来20年以上にわたって同社の中核を支えてきた基幹システムを利用してきました。このシステムは、当時の業界標準とも言える開発ツールによって構築されたもので、長年にわたって安定的に運用されてきた実績があります。
しかし、年月の経過とともに、いくつもの課題が顕在化してきました。たとえば、保守を担う技術者の確保が難しくなったこと、複雑化したシステム構造によって柔軟な機能拡張が困難になったこと、さらにはリアルタイム性の高い処理や外部連携への対応力が限られていたことなどです。加えて、商品やサービスの多様化に対応する には、既存資産の延命では限界があるという認識が社内に広がっていきました。
こうした状況を受けて、三井ダイレクト損保では2020年から本格的に次世代システムの構想を立ち上げました。ポイントとなったのは、単なるシステムの刷新にとどまらず、業務プロセスそのものを見直し、より柔軟で将来性のある仕組みへと作り変える“再構築”を目指すことでした。
この大規模な再構築を支えるインフラ基盤として選ばれたのが、「NRIクラウド OCI区画」です。これは、クラウドの俊敏性と、オンプレミスと同等の統制・ガバナンスを両立できる環境です。柔軟な拡張性や迅速なリソース展開といったアジリティを備える一方で、ミッションクリティカルな業務を支える堅牢性も兼ね備えており、高い信頼性を求める金融業界においても適した選択肢といえます。NRIからの提案内容や、これまで培われてきた信頼関係も後押しとなり、導入が決定されました。
「刷新の方向性を議論する中で、10年後、20年後も見据えた“持続可能な基盤”であることを重視しました」と語るのは、IT企画部 システム基盤グループでマネージャーを務める 榎本 洋平 氏です。「既存システムの延命では対応しきれないという判断から、あえて再構築の道を選びました」と振り返ります。

- 三井ダイレクト損保の 榎本 洋平 氏。
導入の概要・ポイント
NRIクラウド OCI区画による柔軟かつ堅牢な設計
次世代のインフラ基盤として導入された「NRIクラウド OCI区画」は、Oracle社のOCI Dedicated Regionを活用することで、パブリッククラウドの持つ柔軟性や拡張性と、オンプレミス環境ならではの高度なガバナンスと主権性の両立を実現しています。まさに両者の“いいとこ取り”を可能にするハイブリッドな仕組みとして、三井ダイレクト損保の要求を高い次元で満たす選択肢となりました。
同社がこの構成に注目した背景には、24時間365日止めることが許されない自動車保険業務において、利用状況に応じ、リソース拡張が迅速に対応できるスケーラビリティの高さ、そして保守タイミングが定期的に設けられており、事前に対策検討ができるという特性がありました。
本プロジェクトでは、NRIがこれまで他の案件で培ってきたOCI構築の知見が活用され、スムーズな導入が実現しました。特に注力されたのが、現行システムとの併存を前提とした移行設計です。完全移行までに数年をかけ、段階的にシステムを移すことで、業務への影響を最小限に抑える構成が採られました。
また、アプリケーションレイヤーにおいては、OCI上に展開されたKubernetes環境(OKE:Oracle Container Engine for Kubernetes)を活用し、再構築と検証サイクルの高速化が図られました。これにより、従来は手間のかかった修正・反映作業も即時対応が可能となり、開発現場からは「スピード感がまったく違う」との声が上がっています。
「NRIクラウド OCI区画」の最大のメリットは、インフラ面での主権を維持しつつ、クラウドの柔軟性を享受できる点にあります」と話すのは、NRIで本プロジェクトを担当した田原です。「特に三井ダイレクト損保様のように、止められないビジネスを支えるインフラとしては理想的な構成だと考えています」と語ります。

- 株式会社野村総合研究所(NRI)の 田原 智志。

- 株式会社野村総合研究所(NRI)の 木代 康丈。

- 株式会社野村総合研究所(NRI)の 江本 龍二。
導入の効果・今後の展望
“動いて当たり前”を支える信頼基盤
新たに導入された基盤は、2024年から段階的に稼働を開始し、まずはフロント領域での運用がスタートしました。現在は、旧来システムとの併存期間にありますが、将来的にはすべての業務システムを新基盤へ統合する計画です。
すでに現段階でも、その効果は着実に現れています。たとえば、以前は手間のかかったリソースの拡張が、より柔軟かつ迅速に対応できるようになりました。また、システム全体の構成がシンプルになったことで、アプリケーション開発のスピードが向上し、結果として業務対応のリードタイム短縮にもつながっています。さらに、安定的な稼働を実現したことで、インフラ担当者が感じていたプレッシャーも軽減され、「安心してシステムを預けられる」という社内の声も増えてきました。
一方で、今後に向けた改善の取り組みも進行中です。たとえば、夜間や休日といった利用が少ない時間帯にリソースを自動的に縮退・停止させることで、さらなるコスト効率の向上を目指しています。こうした最適化の積み重ねを通じて、インフラ基盤の価値を継続的に高めていくことが期待されています。
「基盤は“動いて当たり前”とされがちですが、NRIクラウド OCI区画の安定性と柔軟性は、間違いなく当社のDX推進における大きな土台になっています」と語るのは、榎本氏と共にプロジェクトを牽引するグループマネージャーの佐々木 計人 氏です。「OCI導入によって築かれたこの強固な基盤をもとに、今後もお客さまにより良いサービスを迅速に届けていける体制を作っていきたいですね」と展望を語ります。
NRIにはこれからも、OCIに関する社内外でのナレッジ蓄積を三井ダイレクト損保へと還元し、共に新たな価値創出へ挑戦していくパートナーとしての役割が期待されています。

- 三井ダイレクト損保の 佐々木 計人 氏。
企業紹介

三井ダイレクト損害保険株式会社
- Mitsui Direct General Insurance Company, Limited
代表 :取締役社長 河村 隆之
本社 :〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目5番1号
設立:1999年6月
事業内容:損害保険業
三井ダイレクト損保は、インターネットを通じて加入ができる自動車保険「強くてやさしいクルマの保険」を取り扱う損害保険会社です。
「強くてやさしい」とは、私たち三井ダイレクト損保が、お客さまに対して“ありたい人格”を表したものです。
それが示しているのは、正直で公平で、本音であること。どこまでもお客さまの立場を優先させる姿勢があり、心から尽くせること。親切で頼りになり、いざというときは守って差し上げられること。
「強くてやさしい」存在であるから、お客さまの視点に徹底的に立つことができる。
そんな強い思い、決意を表しています。
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