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Microsoft パートナー認定制度の
徹底解説!!- 2022/11/09
はじめに
NRI 畑です。今回は、Microsoft の パートナー認定制度の お話をさせていただきます。
よく Microsoft パートナーが「Gold コンピテンシー取得!」といった アナウンスを出されていましたが、コンピテンシーというのは Microsoft が設けている Microsoft パートナー認定制度の ひとつです。これまでは「Gold / Silver コンピテンシー」や、さらに上位の認定として「Advanced Specialization」や「Azure Expert MSP」といった制度がありましたが、2022年10月3日から この認定制度が改正されました。
※ 2022年10月3日から、認定制度の改正と併せて、Microsoft Partner Network (MPN)は、Microsoft Cloud Partner Program (MCPP)に 改称されています。
Microsoft Cloud Partner Program について
パートナー認定制度のお話の前に、Microsoft Cloud Partner Program (旧 Microsoft Partner Network, MPN)について、解説します。
Microsoft と つながるためには、まず Microsoft Cloud Partner Program に参加し「メンバーシップ」となる必要があります。「メンバーシップ」になるためには、自社の Azure AD テナントを紐づける(新規作成でも可)必要がありますが、参加自体は無償です。Microsoft Cloud Partner Program に参加すると、Microsoft が提供する様々なプログラムや特典を受けることができます。学習コンテンツのダウンロード、自社サービスの販売促進など、そのプログラムは多岐にわたります。また、「アクション パック」を活用することで、Microsoft サービスのライセンスやサポートを購入することも可能です。
Microsoft Cloud Partner Program メンバーの中で、特定のソリューションに対して 一定の実績や技術力が認められると、「ソリューション パートナー(旧 コンピテンシー)」が 認定され、ライセンスの 一部無償利用など、さらに有利な特典を受けることができるようになります。
- Microsoft Cloud Partner Program (旧 Microsoft Partner Network, MPN)の 概念
これまでのパートナー認定制度
改めて、これまでのパートナー認定制度には、どんなものがあったでしょうか。
古くからあったのが、Silver コンピテンシーと Gold コンピテンシーでした。自社内にある Microsoft に関する 様々な実績を MPN(Microsoft Partner Network)に 紐づけることで、自動的に認定されました。取得条件は Silver と Gold で同じですが、必要な要件は Gold の方が 難易度が高く、取得が難しいものになっていました。
2020年からは、Gold コンピテンシーの さらに上位に 2つの認定が登場しました。「Advanced Specialization」と「Azure Expert MSP」です。
この上位認定の取得条件は、まず Gold コンピテンシーを取得した上で、さらに難易度の高い 数字的な要件が求められます。そして、Microsoft が設けている 監査要件(チェックリスト)を満たしていることを 第三者の監査機関に対面レビューして 認定を得る必要があり、上位認定を取得するためには、厳しい道のりを乗り越えていく必要があります。
また、カテゴリの数について、昔のコンピテンシーには 数十種類のカテゴリがありましたが、年々再整理され最終的には 18種類となっていました。一方、Advanced Specialization の方は、登場した当初は 10種類程度でしたが、その後 ソリューションの対応範囲が増加し、調査時点では 36種類となっています。
- 認定制度改正前の パートナー制度
これまでの NRIの実績
NRIは 30年以上前から、Microsoft 製品や サービスを お客様へ適用してきた実績があり、これまで多くのコンピテンシーを取得してきました。
NRIは、2022年9月末時点で 10個の Gold コンピテンシーと、2個の Silver コンピテンシーを有していました。
Advanced Specialization については、2021年に「Web アプリケーションの Microsoft Azure への最新化(Modernization of Web Applications to Microsoft Azure)」のカテゴリで、認定を取得しています。
認定制度の改正について
ここまで解説してきた Microsoft パートナー認定制度ですが、2022年10月より改定が入りました。まず名称に
ついては、「Microsoft Partner Network (MPN)」は「Microsoft Cloud Partner Program (MCPP)」へ、
「コンピテンシー」は「ソリューション パートナー」へ、「Advanced Specialization」は「Specialization」へと改称されました。
なかでも「ソリューション パートナー」は、体系や取得要件が大きく変わりました。なお「Specialization」は 名前の変更のみで、取得要件に変更はありません。
ソリューション パートナー の 体系
ソリューション パートナー は、下記のような 6つの ソリューション分野にまとめられ、コンピテンシーにはあった「Silver」や「Gold」の区分は 無くなりました。
- 「ソリューション パートナー」の ソリューション分野
各ソリューションには、「Performance」「Skilling」「Customer Success」の 3つの指標があります。それぞれの指標は ポイント制で加算され、合計ポイントが 合格値である 70ポイント(pt)を上まわれば 認定されるという 評価方法になりました。
各ソリューションにおける指標の考え方やポイント数は異なります。コンピテンシーの時と根本的な評価ルールは変わっていませんが、「Performance」では "新規" 顧客という要素が追加され、「Skilling」での 到達条件の高度化、「Customer Success」では 各ソリューションによって加算の方法が細かく異なっており、従来のコンピテンシーより ソリューション パートナーの方が 全体的に取得が難しくなったと感じます。
何より、ソリューション分野ごとに その性質や実態に合わせた評価ルールが設定されるようになりましたので、おそらく今後このルールは、その時々の実態に合わせて調整が入る可能性があります。Microsoft パートナーとしては、一度取得すれば安心というわけではなく、その時々に応じた条件を達成しなければならないという点で、認定を "維持" することの難易度も上がりました。(ハードルが高い分、ソリューション パートナーの プレゼンスが 高まるということですね!)
Business Applications
[Performance]
- 過去 12カ月の 新規顧客数: 0.75 pt / 顧客 (MAX:15 pt)
[Skilling]
- 資格取得者数(アソシエイト): 4 pt / 人 (MAX:20 pt)
- 資格取得者数(エキスパート): 7.5 pt / 人 (MAX:15 pt)
・Dynamics 365 系、Power Platform 系
[Customer Success]
- 過去 12カ月間の デプロイ数: 2 pt / デプロイ (MAX:20 pt)
- 過去 12カ月間の 使用増加率: 0.67 pt / 成長率 (MAX:30 pt)
・Dynamics 365 系、Power Platform 系
Data & AI
[Performance]
- 過去 12カ月の 新規顧客数: 10 pt / 顧客 (MAX:30 pt)
[Skilling]
- 資格取得者数: 4 pt / 人 (MAX:40 pt)
・[必須] Azure Administrator Associate、Azure Solutions Architect Expert
・[いずれか 1つ]
- Azure Database Administrator Associate
- Azure AI Engineer Associate
- Azure Data Scientist Associate
- Azure Data Engineer Associate
- Data Analyst Associate
- Customer Data Platform Specialty
- Azure Cosmos DB Developer Specialty
[Customer Success]
- 過去 12カ月間の 使用サービス数: 2 pt / サービス (MAX:10 pt)
- 過去 12カ月間の 使用増加率: 1 pt / 成長率 (MAX:20 pt)
・All Azure Services
Digital & App Innovation
[Performance]
- 過去 12カ月の 新規顧客数: 10 pt / 顧客 (MAX:30 pt)
[Skilling]
- 資格取得者数(アソシエイト): 4 pt / 人 (MAX:20 pt)
・[必須] Azure Administrator Associate
・[いずれか 1つ]
- Azure Developer Associate
- Power Platform Developer Associate
- 資格取得者数(エキスパート): 4 pt / 人 (MAX:20 pt)
・[必須] Azure Solutions Architect Expert
・[いずれか 1つ]
- Azure IoT Developer Specialty
- Azure DevOps Engineer Expert
- Power Platform Solution Architect Expert
[Customer Success]
- 過去 12カ月間の 使用サービス数: 2 pt / サービス (MAX:10 pt)
- 過去 12カ月間の 使用増加率: 1 pt / 成長率 (MAX:20 pt)
・All Azure Services
Infrastructure
[Performance]
- 過去 12カ月の 新規顧客数: 10 pt / 顧客 (MAX:30 pt)
[Skilling]
- 資格取得者数(アソシエイト): 4 pt / 人 (MAX:20 pt)
・[必須] Azure Administrator Associate
・[いずれか 1つ]
- Azure Network Engineer Associate
- Azure Stack Hub Operator Associate
- Windows Server Hybrid Administrator Associate
- 資格取得者数(エキスパート): 4 pt / 人 (MAX:20 pt)
・[必須] Azure Solutions Architect Expert
・[いずれか 1つ]
- Azure Virtual Desktop Specialty
- Azure for SAP Workloads Specialty
[Customer Success]
- 過去 12カ月間の 使用サービス数: 2 pt / サービス (MAX:10 pt)
- 過去 12カ月間の 使用増加率: 1 pt / 成長率 (MAX:20 pt)
・All Azure Services
Modern Work
[Performance]
- 過去 12カ月の 新規顧客数: 4 pt / 顧客 (MAX:20 pt)
[Skilling]
- 資格取得者数(アソシエイト): 2.5 pt / 人 (MAX:10 pt)
・Microsoft 365 系
- 資格取得者数(エキスパート): 7.5 pt / 人 (MAX:15 pt)
・Microsoft 365 Certified: Enterprise Administrator Expert
[Customer Success]
- 過去 12カ月間に 40%の使用率に達した 新規 Microsoft 365 サービス数:
2.5 pt / サービス (MAX:25 pt)
- 過去 12カ月間の Microsoft 365 アクティブユーザーの増加数:
0.0075 pt / ユーザ (MAX:30 pt)
・Microsoft 365 系
Security
[Performance]
- 過去 12カ月の 新規顧客数: 2 pt / 顧客 (MAX:20 pt)
[Skilling]
- 資格取得者数(アソシエイト): 6.6 pt / 人 (MAX:40 pt)
・[必須]
- Microsoft 365 Security Administrator Associate
- Azure Security Engineer Associate
・[いずれか 1つ]
- Microsoft Security Operations Analyst
- Microsoft Identity and Access Administrator
- Microsoft Information Protection Administrator
[Customer Success]
- 対象となる Azure セキュリティの顧客、
または 対象となる Microsoft 365 の顧客の 合計数の増加:
3.3 pt / サービス (MAX:20 pt)
- 過去 12カ月間における セキュリティでの Azure 使用による収益(ACR)、
または Microsoft 365 保護ユーザーの増加:
1 pt / 成長率 (MAX:20 pt)
・Azure Security 系サービス
NRIが 取得している ソリューション パートナー(2022年11月現在)
現在、NRIは 3つの ソリューション パートナーを 取得しています。そして、残りの 3つの ソリューション パートナーも 取得できるよう準備をしています。来年には、ソリューション パートナーの 全冠達成ができるよう、引き続きパートナー認定の取得を推進していきます。
おわりに
今回は、Microsoft パートナー認定制度の "これまで" と "これから" を ご紹介しました。Microsoft パートナー認定制度について、皆様の理解が深まれば幸いです。
それでは また次回。ありがとうございました。
Microsoft Cloud Partner Program の 関連ページ
・Microsoft Learn / Partner Center / Microsoft Cloud Partner Program メンバーシップの概要 ※外部サイトへ
・Microsoft Learn / Partner Center / Microsoft Action Pack (アクション パック) ※外部サイトへ
・Microsoft Learn / Partner Center / ソリューション パートナー プログラムの概要 ※外部サイトへ
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