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  • セッション A-1:
    ビジネス変革を支える デジタルテクノロジー(パネルディスカッション)

    ~ atlax Forum 2021 Online - 開催レポート ~

    - 2022/04/22



[登壇者] 野村総合研究所 IT基盤技術戦略室 城田 真琴、藤吉 栄二、長谷 佳明、幸田 敏宏、権藤 亜希子

2021年12月8日に、株式会社野村総合研究所(NRI)が開催した atlax Forum 2021 Online「Track A: テクノロジートレンド」の セッション「A-1: ビジネス変革を支える デジタルテクノロジー」では、「AI・データ分析」「量子コンピュータ」「サステナビリティと 企業の ESG」「e コマース市場の 急成長と リテールテック」などをテーマに パネルディスカッションを行い、NRIの ITアナリストメンバーが 特に注目している「世界の DX 事例」をご紹介しました。

セッション「A-1: ビジネス変革を支える デジタルテクノロジー」の様子

- セッション「A-1: ビジネス変革を支える デジタルテクノロジー」の様子。



新事業を創造し、社会問題解消の決め手となる デジタルテクノロジー

初めに、AI を専門とする 長谷 佳明は、イスラエルの企業 モービルアイが展開する「AI・データ分析技術を駆使した変革」の実践を取り上げました。車載チップ開発企業からスタートした同社は、画像認識技術を活かして データビジネスに参入し、製造業の「売り切り型」ビジネスから脱却して、自動運転サービス事業を立ち上げるまでに 急成長しています。その躍進のポイントとなった「AI と クラウドを活用した データサービスによる ビジネスモデル変革」を経て、「ロボットタクシーで 社会問題(移動・都市計画・CO2 削減)の解消に貢献する パラダイム変革」に発展した流れと 今後の展望を概説。異なる領域への新規参入ではなく、専門分野のデータ活用を検討している企業には、とりわけ参考になるケースだと推察します。

AI・データ分析技術を駆使して、自動運転やスマートシティ構築をリードする モービルアイ社の DX 事例

- AI・データ分析技術を駆使して、自動運転やスマートシティ構築をリードする モービルアイの DX 事例。



量子コンピュータを 日常課題のソリューションに適用する研究

交通や環境課題の言及を受け、量子コンピュータを専門とする 藤吉 栄二は、フォルクスワーゲンが推進する 将来的なモビリティビジネスの事例を挙げ、「量子コンピュータを ビジネスに適用する取り組み」を解説。量子コンピュータを使った最適化計算の研究は、電気自動車関連ビジネス(自動運転、移動時間・混雑の最小化)や 製造プロセスの効率化などを目指して、2015年ごろから実施されてきました。今日、化学や金融業界なども含め、さまざまな業界の企業が 量子コンピュータの可能性に挑み、機械学習や AI を用いた検証や 導入テスト段階で成功を収めるケースも増えています。社会への適用がかなう時期について、「量子技術は 非常に高難度かつ研究段階のため、問題の難度にもよるが、企業は長期的視点での取り組みが必要」であると、藤吉は見解を示しました。

自動車製造業界・化学業界などを代表する企業が、量子コンピュータの可能性に挑戦中

- 自動車製造業界・化学業界などを代表する企業が、量子コンピュータの可能性に挑戦中。



デジタル ESG と サプライチェーン

地球温暖化や人権問題などの世界的な社会課題が顕在化するなか、企業はサステナビリティや脱炭素に向けた貢献、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した経営を求められています。社会問題解決に関するテクノロジーを主に調査している 権藤 亜希子は、2つの取り組みに着眼しました。まず、ユニリーバや ネスレが行っている「熱帯雨林破壊のモニタリング」について、食品などの原材料であるパーム油の生産が、森林の破壊原因とされることから、両社は衛星データなどにより、サプライヤーの動向を観測・追跡し、必要に応じて是正の働きかけを実施しています。もうひとつは、コニカミノルタが成果を上げた「事業における現代奴隷リスク排除」の試み。AI を採り入れた サプライチェーンリスクプラットフォームを活用し、強制労働・児童労働などの人権リスクに関して、従来の手法よりも効率のよい調査を実現しています。ESG への配慮が、企業の長期的成長をなす経営基盤の強化につながると考えられている今日。これらの事例から、デジタル ESG は 企業価値向上の原動力となることが示唆されました。

自社が優先して取組むべき マテリアリティーに関して、必要な情報を収集・分析・発信する デジタル ESG

- 自社が優先して取組むべき マテリアリティーに関して、必要な情報を収集・分析・発信する デジタル ESG。



"広範な配送サービス創出" と "自社向けシステムの外販化"

リテールテックを専門とする 幸田 敏宏が注目したのは、米国 Walmart が 成功した事例です。同社はパンデミック下、e コマースや 店舗ピックアップサービスの利用急増に対し、小型店舗など限られたスペースで、ロボットや自動化技術を活用する「マイクロ・フルフィルメント・ソリューション」と、自社の店舗網・配送の能力をベースに、自社以外の大手小売から地元ローカル店までも対象とした「企業向けの配送請負サービス(業界プラットフォーム)」を展開しました。また、自社向けに開発してきたシステムの外販も開始。収益源を多様化し、技術活用を促進しています。デジタル変革を重ねて「元来の強みを高めつつ、他社連携の土台を築き、自社にとどまらないデータ獲得と エコシステム形成」をねらう好事例となりました。

自社で培った システムサービスの外販により 収益源を多様化し、技術活用を促進するための再投資を可能にする仕組み

- 自社で培った システムサービスの外販により 収益源を多様化し、技術活用を促進するための再投資を可能にする仕組み。



関連リンク

・NRI People / 城田 真琴 ※NRIサイトへ

・NRI People / 藤吉 栄二 ※NRIサイトへ

・NRI People / 長谷 佳明 ※NRIサイトへ

・NRI People / 幸田 敏宏 ※NRIサイトへ



開催概要

atlax Forum 2021 Online について

[イベントタイトル] atlax Forum 2021 Online
[開催日時] 2021年12月8日(水) 13:00 ~ 16:30
[開催形式] オンライン配信
[参加費] 無料(事前登録制)
[主催] 株式会社野村総合研究所


・atlax Forum 2021 Online 開催レポート TOP(計11セッションの概要)「Opening Session」「Track A: テクノロジートレンド」「Track B: ワークスタイル変革」「Track C: クラウド・セキュリティ・運用」

・atlax Forum 2021 Online - お客様の「DX」を実現する NRIの取り組み - ※フォーラム特設ページへ


Track A: テクノロジートレンド

・atlax Forum 2021 Online 開催レポート「Track A: テクノロジートレンド」 - 今後の世界に デジタルテクノロジーがもたらす 劇的な変化 -

・atlax Forum 2021 Online 開催レポート(Track A)「A-1: ビジネス変革を支える デジタルテクノロジー」

・atlax Forum 2021 Online 開催レポート(Track A)「A-2: 量子コンピュータの動向と技術の今」

・atlax Forum 2021 Online 開催レポート(Track A)「A-3: AI・ML(機械学習)を活用した データセンター運営の高度化」


※ 記載された組織名、職名などは、atlax Forum 2021 Online 開催時点(2021年12月)の情報です。
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